研究事例

数学・数理科学分野と産業界・諸科学分野との連携研究事例集
研究テーマ

髙階エネルギー最小化による医用画像領域分割

研究者名 石川 博 研究者所属 早稲田大学理工学術院
キーワード 医用画像処理、セグメンテーション、事前知識、形状事前分布
研究内容
A:どんな諸分野・企業の、どんな問題や現象をターゲットにしたか。

近年ますます高解像度化しているCTやMRIなどの医用画像の3D画像化による可視化や、定量的画像測定による病態変化の正確な把握のために、画像の領域分割(セグメンテーション)は必須のプロセスです。その代表的な手法であるエネルギー最小化において、高階エネルギーの最小化が最近可能になりました。これによる、臓器の形状などの事前知識を利用した領域分割の研究をしています。

B:どんな数学・数理科学をどのように使ったか。

全体の枠組みはベイズ推定に基づいています。また髙階エネルギーの最小化を可能にするため、擬ブール関数最適化という離散数学を利用し、変数を加えることにより低階のエネルギーに変換する手法を発見しました。また、さまざまな数理的画像解析手法により、臓器の形状などの事前知識に対応して画像に適応して髙階エネルギーを生成しています。

C:どんな成果が得られたか。(あるいは、どんな成果を目指しているか。)

この枠組みに基づいた手法により、従来自動化が難しかったセグメンテーションを実用化し、臨床現場にこれまでない可視化や定量化を提供し、手術などをより安全かつ確実に行うことを可能にすることで医療の質を向上することに貢献しています。

D:どのようなきっかけでその諸分野・企業との連携が始まったか。

髙階エネルギーの最小化手法の公表後、富士フイルムからコンタクトがあり、2011年から医用画像処理ソフトウェアの研究開発に協力しています。