研究事例
数学・数理科学分野と産業界・諸科学分野との連携研究事例集
研究テーマ
自動車のシャフトの歪み解消機の高精度化と品質管理の劇的な改善
研究者名 山本昌宏 研究者所属 東京大学 大学院数理科学研究科 教授キーワード 自動車、エンジン、シャフト、ひずみ、制御ソフトウェア、自動化、高精度化、品質管理、ゲージGR&R
研究内容
A:どんな諸分野・企業の、どんな問題や現象をターゲットにしたか。
自動車のエンジンの動力を車輪に伝えるシャフトの歪みを解消する機械のメーカーから、その機械の改良に関して課題とデータが提示された。
B:どんな数学・数理科学をどのように使ったか。
従来、歪み解消機の制御ソフトウェアの設定(シャフトのどの部分にどの程度の力を加えるか)は現場の経験と勘に頼っていたが、シャフト形状のモデル化と数学的アプローチ(シャフトの歪み解消のために重心を利用する方法や凸解析の手法等)に基づき、自動化・高精度化を可能にするための実用手法を開発した。
C:どんな成果が得られたか。(あるいは、どんな成果を目指しているか。)
その結果、品質管理指標の一つであるゲージGR&R(一般的に30%以下でないと計測再現性がないとみなされる)が、数学的手法導入前は20-28%程度であったが、導入後は8-15%程度となり大幅に改善された。
D:どのようなきっかけでその諸分野・企業との連携が始まったか。
スタディグループ「産業・異分野における課題解決のためのスタデイグループ」(H26.2、H26.12、H27.12)での議論がきっかけとなり、東京大学大学院数理科学研究科と東和精機(株)との共同研究に至ったもの。 ※週刊「ダイヤモンド」(2016年1月23日号55頁)、京都新聞(2015年1月5日)ほか地方紙、「数学セミナー」(2015年12月号73-79頁、2016年2月号70-75頁)等に紹介記事掲載