研究事例

数学・数理科学分野と産業界・諸科学分野との連携研究事例集
研究テーマ

位相的データ解析の材料科学等への応用

研究者名 平岡裕章 研究者所属 京都大学 高等研究院 教授
キーワード シリカガラス、構造解析、トポロジー(位相幾何学)、パーシステントホモロジー、機械学習
研究内容
A:どんな諸分野・企業の、どんな問題や現象をターゲットにしたか。

液体のシリカを急冷するとガラス状態になることが知られているが、液相とガラス相はともに無秩序系であることから、相転移による構造変化や相転移点の解明は困難な問題である。

B:どんな数学・数理科学をどのように使ったか。

位相幾何学(トポロジー)を活用した解析法であるパーシステンとホモロジーを開発し、従来の手法では扱うことができないマルチスケールな解析手法を構築した。さらに表現論・確率論・統計を駆使して、データ構造のスケールに関する頑健性で重みをつけた統計的機械学習法(カーネル法)(PWGK)を提案した。

C:どんな成果が得られたか。(あるいは、どんな成果を目指しているか。)

本手法により、シリカの液相とガラス相の構造変化をデータ科学的視点から抽出することに成功した。 シリカの相転移点の統計的検出の他、タンパク質の立体構造の分類問題などにも本手法を応用し、論文を執筆した。 本手法の普遍性より、現在材料科学以外の様々な分野(生命、医療等)へ適用されている。企業との共同研究も多数実施している。

D:どのようなきっかけでその諸分野・企業との連携が始まったか。

数学協働プログラムのワークショップ「Topological Data Analysis on Materials Science」(H27.2) での議論がきかっけとなり、東北大学材料科学高等研究所、九州大学大学院数理学研究院・マスフォアインダストリ研究所、統計数理研究所間の連携が始まった。