研究事例

数学・数理科学分野と産業界・諸科学分野との連携研究事例集
研究テーマ

心臓血管系データの呼吸位相領域解析

研究者名 小谷潔 研究者所属 東京大学先端科学技術研究センター
キーワード 心拍変動,呼吸性洞性不整脈,非侵襲連続血圧,振動子,位相
研究内容
A:どんな諸分野・企業の、どんな問題や現象をターゲットにしたか。

非侵襲生体計測における,データから内部状態を読み取る技術.特に,自律神経による心臓血管系の調節機構の評価

B:どんな数学・数理科学をどのように使ったか。

力学系理論,同期現象の解析などで用いられる振動子の解析手法. 従来は心臓血管系の信号は時間領域,および周波数領域で解析されていた.周期的な変動である呼吸が心臓血管系に大きな影響を与えている点を考慮し,データを呼吸位相軸で解析する手法を提案した.

C:どんな成果が得られたか。(あるいは、どんな成果を目指しているか。)

呼吸位相領域での解析によって,呼吸が心臓血管系に影響を与える複数の経路が明らかになり.また立位と座位の比較から自律神経活動の関与を定量化することができた.また,その後本手法は外部刺激に対する心血管系の応答を少ない試行から評価する手法,および非侵襲自律神経評価手法に展開していくなど,基礎的な生理学的な相互作用評価から生活環境下での応用技術まで広く利用可能であることが示された.

D:どのようなきっかけでその諸分野・企業との連携が始まったか。

私自身が数理解析と生体計測の融合領域の研究を目指していく過程で基本的なアイデアを着想するに至った. その後幅広い分野の方からの助言,アドバイスなどを頂き,当初の予定より広い領域の研究に発展していった.