研究事例
数学・数理科学分野と産業界・諸科学分野との連携研究事例集
研究テーマ
哺乳類着床前胚の発生動態解析
研究者名 小林 徹也 研究者所属 東京大学 生産技術研究所 准教授キーワード 発生、着床前胚、人工授精、畜産、生殖補助医療、トラッキング、コンピュータービジョン、整数計画法、機械学習、
研究内容
A:どんな諸分野・企業の、どんな問題や現象をターゲットにしたか。
哺乳類着床前胚をなるべく良い状態で培養・維持することは、生殖補助医療や畜産の分野における人工授精の成功率を高めるために不可欠であるが、胚の状態を客観的かつ定量的に評価することが問題となっている。
B:どんな数学・数理科学をどのように使ったか。
共同研究者が計測した胚の4D(3D+時間)イメージングデータに対して、既存の画像解析・コンピュータービジョンのみならず、整数計画法を用いた細胞追跡、得られた細胞系譜データに対する機械学習手法などを組み合わせ、胚の発生過程を定量的な系譜データをもとに評価するシステムを構築・発展させている。
C:どんな成果が得られたか。(あるいは、どんな成果を目指しているか。)
哺乳類胚について安定した系譜追跡システムの構築に成功し、現在異なる胚の培養条件化でのデータ取得を進めている。将来的にはそれらの系譜データを解析することによって、培養条件の違い、胚の収集方法に依存した胚の発生状態の変化をデータから解析・予測するとともに、それをよりよい培養液や人工授精プロトコルなどの開発にフィードバックすることを目指している。
D:どのようなきっかけでその諸分野・企業との連携が始まったか。
研究者は博士研究員時代、神戸理研発生再生科学総合研究センターで3年間、生物・発生分野の研究者らの中で研究を行っている。主となる共同研究者とのその時の人的なつながりで連携が始まった。