研究事例
数学・数理科学分野と産業界・諸科学分野との連携研究事例集
研究テーマ
細胞極性と細胞移動の数理モデル
研究者名 秋山正和 研究者所属 北海道大学 電子科学研究所 助教キーワード 数理モデル,形態形成,発生生物学,数値解析
研究内容
A:どんな諸分野・企業の、どんな問題や現象をターゲットにしたか。
ゼブラフィッシュ胚の体節形成では,細胞群が自発的に運動を行い伸長を行う.同様の形態形成は細胞性粘菌やある種のがん細胞でも見られる.一方,どのようなメカニズムによりそのような形態形成を行っているかは不明であり,さらに実験的な手法だけでは解析することは非常に困難である.そこで,本現象に数理モデルを用いて細胞運動の数理を明らかにしようとしている.
B:どんな数学・数理科学をどのように使ったか。
細胞の運動と細胞極性には密接な関係があるが,集団運動モデルとして有名なビチェックのモデルをベースに細胞移動と極性に関する新しい数理モデルを提案した.提案したモデルは,最大6つの項からなり,生物学的に妥当な仮定を用いて導出された.未定パラメタを含みかつ手計算による解析が困難であるため,数値解析の技法を用い,数値計算を行った.
C:どんな成果が得られたか。(あるいは、どんな成果を目指しているか。)
計算から新しい運動モードを発見し,さらに実験により追認された. 体節の伸長方向を決定するいくつかの機構を提案した.現在,実験研究により,それらの機構の妥当性を検証中である.
D:どのようなきっかけでその諸分野・企業との連携が始まったか。
新学術領域研究の公募研究
東大:武田教授,北大:芳賀教授との共同研究