研究事例

数学・数理科学分野と産業界・諸科学分野との連携研究事例集
研究テーマ

ショウジョウバエ複眼の形態形成に関する数理的研究

研究者名 秋山正和 研究者所属 北海道大学 電子科学研究所 助教
キーワード 数理モデル,形態形成,発生生物学,数値解析, 2D or 3Dバーテックスダイナミクスモデル
研究内容
A:どんな諸分野・企業の、どんな問題や現象をターゲットにしたか。

金沢大学の佐藤教授等との共同で,ショウジョウバエの複眼の形態形成に関して研究を行っている.通常の複眼は6角形の小さい個眼からなるが,ある特殊な遺伝子操作を行ったハエでは,この個眼が4角形に変化する.この結果,複眼全体の形にも変化が生じるが(図参照),どのようなメカニズムにより生じるかを研究することが目的である.

B:どんな数学・数理科学をどのように使ったか。

物理的には6角形のハニカム構造は最も安定な構造であるが,何らかの不均衡が生じ4角形化することが示唆される.そこで,このような構造変化を計算するために都合のよいバーテックスダイナミクスモデルを用いた. バーテックスダイナミクスモデルでは,ある種のエネルギー汎関数を考えることで,系全体に生じうる変化を計算可能であるが,数学的には対称性の高い系にどのような要素があれば,このような形ができるかという点に絞って研究中である.

C:どんな成果が得られたか。(あるいは、どんな成果を目指しているか。)

2Dモデルでは,検討したパラメタ範囲では,四角形化が顕著化しなかった.このことから,現象を捉えるためには何らかの対称性を崩すメカニズムが不足することがわかった.そこで,現在は3Dにおいて計算モデルを構築中である.

D:どのようなきっかけでその諸分野・企業との連携が始まったか。

新学術領域の公募研究時の共同研究


栄教授(北大),佐藤教授(金大)との共同研究
シミュレーション
実験