研究事例

AIMaP成果事例集
2019A003 研究テーマ

低温から高温へ熱は伝わるのか?

研究者名 松江 要 研究者所属 九州大学マス・フォア・インダストリ研究所/ カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所
キーワード 熱力学第2法則、エントロピー、熱伝導、熱伝達、輻射、スイッチ力学系(微分方程式、ランダムウォークなど)、マクスウェルの悪魔
研究内容
A:どんな諸分野・企業の、どんな問題や現象をターゲットにしたか。

地球温暖化の兆候が見られる昨今、温室効果ガス削減・エネルギー資源の有効活用の一環として、再生化可能エネルギーを用いたエネルギーシステムの必要性が唱えられている。この世界的潮流に基づき、吸込み空気を冷風・温風に分けることによる冷暖房の超効率化を目指して、株式会社デンソーより課題として提示された。

B:どんな数学・数理科学をどのように使ったか。

「低温から高温へ熱を伝える」という一見物理法則に反する事象が近年実験にて実証された事実を基礎に、SGWにてこの事象を実現する数学的機構を抽出、簡単な数理モデルを提案し、温度差を生むエネルギーの増大を実現できる事を実証した。

C:どんな成果が得られたか。(あるいは、どんな成果を目指しているか。)

この数理モデルによる考察は今後の開発における鍵となる機構を提供し、開発のための大幅なコスト削減をもたらすと期待される。

D:どのようなきっかけでその諸分野・企業との連携が始まったか。

産業界における数学的問題を解決すること、あるいは数学を軸にした産業界との共同研究や連携活動の種を見出し、その芽を育てることを目的として開催されたSGW(スタディグループ・ワークショップ)2019にて課題として提示され集中討論を行った。