AIMaP事業概要

ご挨拶

文部科学省科学技術試験研究委託事業「数学アドバンストイノベーションプラットフォーム」(AIMaP: Advanced Innovation powered by Mathematics Platform, H29-33年度)は、「数学・数理科学と諸科学・産業との協働によるイノベーション創出のための研究促進プログラム(略称:数学協働プログラム)」(中核機関:統計数理研究所, H24~28年度)で構築された研究活動のネットワーク型基盤を受け、数学・数理科学と諸科学分野・産業との協働を推進する組織的な取り組みです。九州大学マス・フォア・インダストリ研究所(IMI)が幹事拠点となり、全国12の数学・数理科学機関を協力拠点としてオールジャパン体制を築いて、潜在する数学・数理科学へのニーズを積極的に発掘し、数学・数理科学研究者との協働による研究を促進する仕組みを構築します。

数学・数理科学は情報技術の基盤であるだけではありません。数学によるモデル化技法の発展はHPCの高性能化と相まって、諸科学分野を大きく前進させ、産業界において斬新な技術をもたらしています。最近では、金融・保険など経済関連分野のみならず、人間の行動・心理のモデル化や社会システムの構築や制度設計に関わる社会科学・人文科学分野にも数学が大きく進出しています。ビッグデータを利活用する技術開発、公平で安心な社会システムのデザインに数学は不可欠なのです。米国では数学者(Mathematician)がつねに人気職種のトップクラスの地位を保ち続けていますが、最近では、ドイツにおいても、数学博士が引っ張りだこで、かなりの高給で企業に雇われるので、優秀な若手が必ずしも大学での研究職を希望しないということを耳にします。欧米では、ゼロベースで根本からものごとを考え、求められるモノ・コトに対して、定式化からはじめて完成にいたるまで全体的な組み立てができる数学・数理科学の真価が認識され、それを担う人材が社会の中枢で活躍しています。これと比較して、我が国の取り組みが遅れていることは否めません。

AIMaP事業では、九州大学IMI幹事機関となり、我が国を代表する数学・数理科学拠点の強みを生かしつつ、その力を結集できる全国的なネットワークを構築することによって、数学・数理科学と諸科学や企業との融合研究を促進するための諸活動を次のように段階を踏んで実施します。

1.諸科学・産業との協働に関する情報の集約・分析、重点化連携分野の選定
・数理技術相談データベースの構築・運営
・幅広い分野から重点化連携分野を選定

2.重点化連携分野へのアプローチ
・諸科学分野・業界団体の会合における数学応用セッション等の開催
・産業界と数学研究者・大学院生との出会いの場の開催
(数学・数理科学専攻若手研究者のための異分野・異業種研究交流会)
・数理技術相談データベースを通じて受け付ける技術相談

3.諸科学・産業との協働による研究の促進
・諸科学・産業向けに数学応用事例や数学的手法を紹介(チュートリアル開催等)
・スタディグループ:問題解決型短期集中研究集会の開催
・研究集会・ワークショップ等の開催

4.フォローアップ、成果やノウハウ等の集約・整理、水平展開・運営改善への反映
・諸科学・産業との連携の成果やノウハウを全国の協力拠点間で共有
・出版事業

特に、以下の活動を重視しています。

a. 幹事機関に数理技術相談ネットワークを設置して、全国の数学・数理科学のニーズやシーズの情報を収集して集約し、その分析を行い、情報発信に努めます。連携の取り組みの成功事例など得られた成果を集約するデータベースを構築してミエル化を行い、関係機関のネットワークの中で横断的に展開することで、利活用の便をはかります。

b. 数学者・数理科学者が外に出かけていって、より積極的な形の交流を行います。選定された重点化連携分野に関係する学協会の会議や業界団体のイベントにおいて、数学応用セッションやチュートリアルを企画し、異分野研究者との直接的な交流を通じて、数学・数理科学の有効性を訴求します。

c. これらの活動を持続するためには、未来のイノベーションを担う若手研究人材の育成が急務です。社会連携協議会(日本数学会)の事業(異分野・異業種研究交流会、キャリアパスセミナーなど)を支援し、また、産学連携の大きな装置となる中長期研究インターンシップを推進します。さらに、アンケートなどによって大学院生の進路の実態把握に努め、キャリアパス拡大のための方策を探ります。

AIMaP事業は、数学・数理科学の研究者およびそれを応用する研究者、さらに利活用する方々に広く開かれています。わが国の数学・数理科学の知を結集し、諸科学・産業界に文字通り異次元のイノベーションがもたらされることを願ってやみません。関係各位におかれましては、本事業に積極的に参画してくださり、盛り立ててくださいますよう切にお願い申し上げます。

代表 佐伯 修
九州大学マス・フォア・インダストリ研究所