数学は、高度機能化した現代社会における、闇を照らす消えることのない明かりにたとえられます。情報セキュリティー、ネットワーク、CTスキャン・MRIなどの医療技術、航空機や車などの開発、溶鉱炉・原子炉の制御、運輸・流通業におけるスケジューリング、金融・保険、資源探索、災害予測、エンターテイメントなど、現代社会を牽引する高度テクノロジーのほぼすべてにおいて、その本質的部分は数学を礎石としています。
多くの科学技術分野において、数学・数理科学の研究人材が熱望されており、国際的にも大幅な需要増加が予想されます。九州大学マス・フォア・インダストリ研究所(略称:MI研究所またはIMI)は、このような国際社会からの要請に応えるため、多様な数学研究を基礎におくアジア初の産業数学の研究所として、平成23年4月1日に創設されました。平成25年4月1日には文部科学大臣から文部科学省共同利用・共同研究拠点「産業数学の先進的・基礎的共同研究拠点」に認定されました。マス・フォア・インダストリ(Mathematics for Industry、略称MI)とは、純粋・応用数学を流動性・汎用性をもつ形に融合再編しつつ産業界からの要請に応えようとすることで生まれる、未来技術の創出基盤となる数学の新研究領域です。
九州大学の伝統と強みを生かし、国際連携、特にアジア・太平洋地域との結びつきを重視しつつ、MIに基づく世界有数の産業数学の研究拠点形成を志し、数理学研究院との協力関係の維持発展により、わが国を代表する世界的な数学の教育研究拠点を実現しようとしています。