早稲田大学理工学総合研究所・重点領域「数理科学研究所」は、数学を中心して理工学の諸分野が協働し、融合的・実証的に教育・研究を行い、新たな数学分野、概念の創出や社会的課題に対する新たな数学的視点、方法論の開拓を目指して、2018年4月に発足しました。
発足時の活動については、AIMaP Newsletter vol.2 で紹介させて頂きました。本vol.3 ではその後の重点的な取り組みを紹介したく存じます。
2017年に第5期科学技術基本計画において人類に豊かさをもたらす「超スマート社会(Society 5.0)」掲げられました。Sociey5.0 は、国連の「持続可能な開発目標 SDGs」と軌を一にしており、早稲田大学は地球的課題の解決に貢献できる人材育成を掲げました。本研究所では、現在SDGsが掲げる17課題のうち、以下の4課題に絞って取り組みを推進しています。
(i)4.質の高い教育をみんなに
研究課題:非線形解析学 研究リーダー:柴田良弘
理工文化論としての数学のミレニアム問題の解説、サイエンスカフェ等のアウトリーチ活動
(ii)7.エネルギーをみんなにそしてクリーンに
研究課題:計算数理科学 研究リーダー:大石進一
コンピュータの高度利用に基づく科学、実験、理論とならぶ第3の方法。精度保証付き数値解析を推進
(iii)9.産業と技術革新の基盤をつくろう
研究課題:数学一般、統計数理科学 研究所長:小薗英雄、副所長:谷口正信
数学・数理科学の深化・発展に寄与するとともに、諸科学・産業との協働による研究活動が我が国に定着し、「知識創造立国」が実現
(iv)13.気候変動に具体的な対策を
研究課題:非線形数理モデル 研究所長:小薗英雄
非線形解析学の手法が乱流理論や乱流縮約モデルの構築に寄与し、大気・海洋汚染、都市環境整備、エネルギー政策、防災対策など多くの社会的会的関心の高い問題さまざまな流動現象の解明、およびその予測信頼性向上に貢献。
これらの具体的な取り組みによって、Society 5.0が目指す未来の社会の創造に向けて本研究所が少しでも寄与できればよいと考えています。