標記ワークショップを、2017年12月26日(火)に、日本橋ライフサイエンスビルディングで開催しました。本ワークショップは、いっしょに本事業に取り組む運営委員や協力拠点の関係者が顔を合わせて、数学・数理科学と異分野連携のノウハウを共有し、今後の活動に役に立てていただこうという趣旨で企画しました。非公開扱いとし、異分野連携の経験が豊富な数学・数理科学研究者やそのパートナーをお招きして、公的な場では聞けないような苦労話、工夫された点、成功のための秘訣などを披露していただきました。参加者は、運営委員や協力拠点関係者を中心に33名でした。
数学・数理科学および工学の大学教員、企業研究者7名の講師より、貴重な経験談を語っていただきました。午前中は、太田信教授(東北大学流体科学研究所)に、医学研究者や製薬会社との共同研究の立ち上げにまつわる苦労話を、西井龍映教授(九州大学マス・フォア・インダストリ研究所)に、統計学を軸とする異分野連連携の秘訣を、儀我美一教授(東京大学大学院数理科学研究科)には東京大学数物フロンティア・リーディング大学院における社会数理実践研究の取り組みを、鈴木貴教授(大阪大学大学院基礎工学研究科)に、大阪大学数理・データ科学教育研究センターにおけるスタディグループのノウハウを紹介していただきました。午後に、吉良知文准教授(群馬大学社会情報学部)と穴井宏和研究員((株)富士通研究所)、九州大学IMIにおける富士通ソーシャル数理共同研究部門の活動を、小松崎民樹教授(北海道大学電子科学研究所)に、日立製作所との連携の取り組みについて紹介していただきました。
ワークショップの最後に1時間の枠を設けて、「異分野連携のきっかけを作るには?」をテーマに、7名の講師をパネラーとしてパネルディスカッションを行いました。数学・数理学者と応用の現場をつなぐシニアの人材が要る。企業でも数学を使うようになったが、人材をどのように育成するかが課題である。「数学は、ものごとを精密化することよりも、基礎方程式がわかっていない現象にゼロベースで取り組んで、問題を定式化することが得意である。ドイツでは、数学博士が引っ張りだこで、博士号取得者が大学での研究職を望まない。」という儀我教授の言葉が印象に残りました。
濃密かつ有益な情報共有・情報交換が楽しくできた一日でした。
マス・フォア・インダストリ研究所
福本 康秀