第61回自動制御連合講演会
特別企画1 非協調・非協力の動的システム科学と制御
■日時・場所:11月17日(土)14:45〜16:15 第1室 S47
■企画:
計測自動制御学会制御部門超スマート社会実現のためのシステム制御技術調査研究会
■オーガナイザ:
早川 朋久(東京工業大学)・永原 正章(北九州市立大学)
■概要:
近年のAI, IoT技術の進展にともない,経済・社会システムのデジタル化が急速に進んでいます.この産業革命にも匹敵するデジタルトランスフォーメーション(DX)は,我々の経済・社会活動を著しく変化させ,これまで考えられなかったきめ細かなサービスが実現可能になってきています.特に,これからのSociety5.0と称される社会における各主体の活動は,それぞれの価値基準が尊重され,適切なインセンティブをミクロに設定することによって,個別の効用と社会全体の効用を両立的により高いレベルで追求(制御)できるようになってくると考えられます.
本特別企画ではOS27と連動し,未来社会で想定されるミクロなエージェントの振るまいとその総体としての特性について,各分野での第一人者の方々にゲーム理論,オークション,マッチングのフレームワークを語っていただきます.
■プログラム:
- 14:45〜15:30
ゲーム理論はアート:日本の未来をデザインする政策のための第三の道
松島 斉 氏(東京大学)
ゲーム理論は,経済学,社会科学のための,いわば最強アートです.なぜなら,ゲーム理論という名のモダンアートによって,社会の隠された論理の本質が白日の下にさらされるからです.そして,アーティストの超個性的なイマジネーションによって,未来の問題解決のための,斬新な指南書が作成されるからです.
こんなゲーム理論は,市場原理主義でも,官僚徹底主義でもない,政策のための第三の道,「メカニズムデザイン」を開拓してきました.今日の日本社会の貧困は,この第三の道による救済を切に必要としています.
本講演は,短い時間ではありますが,ゲーム理論の事始めを,わかりやすく,刺激的に解説します.経済学とのかかわりにも言及しながら,さまざまな問題(放送・通信のスペクトラムアロケーション,キャリアマーケットデザイン,電力・環境ネットワークデザイン,金融システムデザイン,パテントプラットフォーム,監視なき監視,タブー,クリプトエコノミー,難民セツルメント,などなど)をどうとらえるかについて,「ゲーム理論マジック」が提供してくれる驚きとひらめきを,ぜひ堪能してください.
- 15:30〜16:00
計算量理論とマッチング
神山 直之 氏(九州大学)
本発表では,常に解を持つ問題の難しさを明らかにするために Papadimitriou によって導入された計算量クラスPPADの概要と,ゲーム理論に関係する計算問題 (特にマッチング問題) とPPADの関係をを紹介します.
- 16:00〜16:15
利己的エージェント集団のゲームダイナミクスとその制御
金澤 尚史 氏(大阪大学)
本発表では,利己的ではあるが限定的な合理性しか持たない多数のエージェントが相互作用する「社会」に焦点をあて,個々のエージェントの戦略の変化を考える代わりに,その集計的な振る舞いである各戦略のシェア(社会状態)の変化を記述するゲームダイナミクスを紹介します.また,各エージェントに税と補助金を課すことで「社会」を間接的に制御し,目標とする社会状態を実現する制御法について概説します.
■第61回自動制御連合講演会プログラムサイト:
https://rengo61.iscie.or.jp/program/