数学・数理科学４研究拠点合同市民講演会
「数学・数理科学の広がり」 　— Math Everywhere —

13：00

開場

13：30-13：35

開会挨拶
　俣野 博（明治大学先端数理科学インスティテュート　所長）

13：35-13：45

ご挨拶
　西井知紀（文部科学省研究振興局学術機関課　課長）

13：45-14：25

「流れ」の数理が語る生命の世界
▶︎ 要旨
地球上の生命は水とともに生きています。水や空気といった流れる物体の運動に関する学問は「流体力学」として知られ、18世紀のオイラー以降、数学・数理科学の一分野として発展してきました。講演では、細胞スケールの微生物の運動を中心に、流体力学の方程式を通して見えてくるダイナミックな生命の世界についてお話ししたいと思います。

講演：石本健太（京都大学数理解析研究所　准教授）

14：25-15：05

人間の心臓はなぜ左側に偏っているのか？〜生物の形の非対称性とその数理〜
▶︎ 要旨
動物園では多くの動物を見ることができます。彼らの体の形は正面から見て、左側と右側が同じ形、つまり左右対称です。しかし、心臓や肝臓などいくつかの臓器は、体の偏った位置にあり左右非対称であることが知られています。このように多くの生物では、外からみた形は対称でも、体の内側では非対称な臓器配置を持っています。そうした非対称性が どのようなメカニズムによって作られているのかは古くから未解明の問題として知られていましたが、最近になって有力な説が提案されています。皆さん、一緒に生物の形の秘密を探求しましょう

講演：秋山正和（明治大学研究・知財戦略機構　特任准教授）

15：05-15：25

休憩

15：25-16：05

AI時代に数学者として踏み出すという事近年注目されているAIはブラックボックス化の課題を抱えています。その為、安全面や倫理面の観点において今後本格的にAIが社会で使われる為には理論の解明が必須です。そこに数学人材が活躍できる面が多々あると考えています。またAI時代を見越した数学教育とカリキュラムが見直されるべきで、数学教育が社会で重宝される為にも、数学科出身で社会でAIを使い活躍する人材が多数出てくるべきだと考えています。アメリカはもう既にそのフェーズに入ってきています。本講演ではその２点への課題を私個人の活動と共にお話しいたします。
▶︎ 要旨

講演：渡邊陽介
（株式会社ZOZOテクノロジーズ研究員／九州大学マス・フォア・インダストリ研究所　訪問研究員）

16：05-16：45

数学・数理科学を活かす知としての統計学
▶︎ 要旨
近代統計学は、「科学の文法」創生という活動から生まれました。夏目漱石は、科学の文法を現象の分解、総合を通じて法則を現象に与え、法則が成り立たない状況が見つかれば、現象を分類するプロセスだと講義しました。この「知識獲得のための知」の支援手段として、中学・高校で習うヒストグラム、標準偏差、相関が発明され、人工知能までに発展したのです。日本は、科学の文法に数理科学的方法で現象を改善するプロセスも提唱しました。一方、数学は科学の文法を記述する言語として、揺るぎない役割を社会に対して果たしているのです。

講演：椿 広計（統計数理研究所　所長）

16：45-16：50

閉会挨拶 佐伯 修（九州大学マス・フォア・インダストリ研究所　所長）